スパイダープラス 新社外取締役 川原均インタビュー公開「SaaSの枠を超えた事業拡大」の可能性とは
2026.03.25
News Release

本日(2026年3月25日)に開催した第27期定時株主総会にて、スパイダープラス株式会社の新たな社外取締役に川原均が就任いたしました。
スパイダープラスは、「SaaSの枠を超えた事業拡大」を見据え、単なるプロダクト提供にとどまらず、「ソフトウェア×ソリューション」で、顧客の業務プロセスに深く入り込み、建設現場が抱えるあらゆる課題を解決し、真に「不可欠なインフラ」となる未来を目指しています。
高い目標に向かう当社の戦略の妥当性を客観的にどう評価し、インフラ企業へと飛躍するために経営陣が乗り越えるべき課題に対し、いかに監督・助言を行っていくのか、お聞きしました。
<川原均 経歴>
1982年に日本IBMへ入社後、ソフトウェア事業の責任者として同社の成長を牽引。
2011年にはBerlitz Corporationで取締役副社長を務め、グローバル企業での経営経験を重ねる。
2012年に株式会社セールスフォース‧ドット(現:株式会社 セールスフォース‧ジャパン)へ参画し、副社長兼エンタープライズ営業本部長として大手企業のDX推進をリード。
2014年には同社取締役社長兼COOに就任し、事業拡大と組織成長を推進した。
2016年よりデロイト トーマツ コンサルティング合同会社 副社長に就任し、経営会議議長を歴任、経営の中枢から意思決定を担った。
2024年以降はフライシュマン・ヒラード・ジャパン、SHIFT、日本企業成長投資、イルグルムにて顧問・社外取締役として、経営、成長、ガバナンスの観点から複数企業を支援している。
ベンチャー気質で成熟市場に挑むということとは
スパイダープラスを認知したきっかけと、その際に抱いた印象をお聞かせください。
これまでクラウドベースのビジネスを長く見てきました。
その中で、業界に特化して強い価値を出せる企業の動向は常に気に留めていました。
建築・建設分野は、現場にアナログ的な仕事の進め方が色濃く残る領域でもありますね。
そこにDXを持ち込むという点で、自然と関心を持ちました。
単に紙を置き換えるのではなく、現場で使われる情報の起点をデジタル化することで、業務の進め方そのものを変えられる可能性があると思いました。
スパイダープラスとのコミュニケーションが始まる中でその際に抱いた事業や組織への印象が変わっていくことはありましたか。
当初は成熟した業界に対して、ベンチャー気質でどこまで挑めるのか。そして、その挑戦の姿勢が全職種に共通しているのか。そこが気になっていました。
事業を見ていく中で、SAM・SOMを広げていく取り組みを少しずつ理解しました。
単一の機能提供に留まらず、より大きな市場を取りにいく成長の設計が見えたことで、印象がもっと前向きなものに変わっていきました。
SPIDER+が建設現場のデジタル基盤としてインフラのように不可欠な存在になるには、何が必要でしょうか?
マーケットシェアをいかに素早く拡大するか、です。
業界の中でプラットフォームが認知を得るためには必須のプロセスです。
SaaSを含めたデジタル産業はコンペティターが参入しやすい分、他を凌駕するような早さでマーケットシェアを獲得し、業界標準、或いは実質的リーダー企業と認知されることが重要です。
セールスフォースでも、それを当然のこととして皆が認識して、必死で働いていました。
一方で、ベンチャーのまま走り続けるだけでは、インフラになりきれない部分も出てきます。
スパイダープラスのお客様の規模は小規模からエンタープライズまで様々であり、求められるバリューや提供できるサービスは多岐にわたります。
インフラになるためにはそれぞれのお客様に相応のバリューを提供しなければなりません。
そのための議論を社内で行い、ソリューションやサービスに活かしていくことが大変重要となっていきます。
どちらが正しいのかということではなく、両方に対する「勝ち筋」を見つけていく必要があるのです。
また、インフラを名乗るならば、サービスの価値だけでなく、会社としての信頼性や、長期にわたって顧客に責任を持てる体制が問われます。
そのためには、組織として心技体が整っていることが重要です。

信頼で勝つための3つの土台と、現場価値の伸ばし方
「心技体」というのは、具体的にどのようなことでしょうか。
私の中では次のように整理しています。
「心」は企業ミッションが明確で、社員全員が実践していること。
”働く”にもっと「楽しい」を創造する。全社員がそのミッションに向けて働いているか。
「技」はミッションを推進する人が、集合体として機能していることです。
開発・技術者だけでなく、総務や人事、広報も含めた全ての社員が、自身の技術・技倆を発揮して会社組織として機能することを指します。
「体」は大胆な投資を可能にする財務基盤と、それを支える規律ある経営体制(ガバナンス)を指します。
プロダクトが良いというだけではインフラになることは不可能です。
先ほど挙げた心技体の3つが揃うことで、継続して社会に価値を出し続けられます。
スパイダープラスは今その途上にあると思います。
現在はテック産業を取り巻く環境の変化が本当に目まぐるしいです。
従来型のSaaSビジネスに対しては手厳しい形容もありますが、そうした中で事業をやりきるためには何が鍵になるでしょうか。
いま大切なのは、お客様が何に満足し、どんな価値や恩恵を実感し、どこに「楽しい」「前向きになれる」といった感情を見いだしているのかを、私たち自身が正確に捉え、共通認識として持つことです。
AIをはじめ新しい技術が次々と登場する時代には、「この会社は変化に対応できるのか」という見方がこれまで以上に厳しくなっています。
だからこそ、流行や機能追加に振り回されるのではなく、ミッションの“働く”にもっと「楽しい」を創造する。に立ち戻って価値を磨き続ける姿勢が重要になってきます。
特に「楽しい」を生み出すために、AIなどの先端技術を、いかに現場の『働くことの楽しさ』や『創造性』に結びつけられるか。
技術に使われるのではなく、技術を現場の付加価値に転換する視点が決定的な差別化を生みます。
現場の創意工夫を引き出し、ものづくりのプロセスそのものに深く関わることで、はじめて実現できる価値だと考えています。
一方で、AIによって置き換わりやすいSaaSもあります。
たとえば出力が定型化された機能や、取り込んだデータの活用が汎用化できる領域は、差別化が難しくなりやすい。
だからこそ私たちは、現場に根ざしたプロセス価値を軸に、提供価値を積み上げていくのです。
建設DXをとりまく環境は猛烈な早さで変化し、私たち自身も新たなフェーズにいます。
そうした中で社外取締役として新たに就任するにあたり、今後の抱負をお聞かせください。
スパイダープラスは、アイディアとテクノロジー、そして勢いで成長してきた会社です。
建設現場で「なくてはならないインフラ」になるには、企業としての信頼性を一段高めることが欠かせません。
そのため私は社外取締役として、「ストラテジーの妥当性」「リスクマネジメントの堅実性」「タレント(人材)の持続可能性」の3点を軸に、経営の監督と助言を行います。
企業を支えるのは人です。
スパイダープラスの規模を踏まえると、既存タレントの活躍だけでなく、事業拡大を見据えた発掘・育成が重要になります。
また、変化の激しいデジタル産業では、ストラテジーの正しさが企業の競争力を左右します。
一度踏み違えれば、優位性を失い、事業の持続性そのものが揺らぎかねません。
同時に、リスクマネジメント、とりわけサイバーリスクを中心とした備えは継続的に強化し、常に目を配る必要があります。
スパイダープラスという組織が心技体を備えていくためにこの3点を中心軸に据えることが、社外取締役としての私のミッションです。

ありがとうございました。